新宿東口ハートクリニックブログ

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こころの豆知識, 心療内科

【AD/HD】注意欠陥/多動性障害【コンサータの解説】

AD/HDとは?

AD/HD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)は、日本では注意欠陥/多動性障害と呼ばれています。

AD/HDの症状三要素

不注意

細かいことに注意がいかない、仕事や家事がずさん

会議や会話に集中するのが難しい

仕事を始めても、違うことを始めてしまう

連続する作業を最後までやり遂げるのが難しい

課題や活動を計画的に行うことが困難

課題や活動に必要なものをよくなくす(事務書類、財布、携帯、眼鏡など)

このようなことが、本人のやる気とは関係なく、誤解されてしまうのは大変ですよね。

衝動性

人が話している最中に発言したり、人が言いかけたことを代わりに完結させてしまう。

話すことに夢中で話が聞き取れなくなる

人のものを許可を得ずに使う

車の運転中に無理な追い越しを繰り返す

このような症状が幼少期から大人になるまで、持ち越されることもあります

多動性

そわそわして手足を動かしたり、椅子の上でもじもじする

レストランやミーティングなど長時間じっとできない

落ち着きのない人とよく言われる

しゃべりすぎる

多動性は、成長するにつれて改善されることがあります。
それは、年齢を重ねることで本人が学習し、規制する能力が働くためといわれています。

AD/HDの原因

上記の三要素を中心としたAD/HDは脳の発達のかたよりが関係していると考えられています。
神経伝達物質のひとつである「ドパミン」が不足することで、神経伝達に異常が発生し、
物事を順序よくすすめる、優先順位をつける、といった実行機能や、
待つ、といった報酬系の機能が低下することによると考えられています。
さらには、遺伝的な要因や、環境的な要因、出産時のトラブルなども関連していると考えられています。

AD/HDの治療方法

心理社会的治療

まずは、自分の行動の特徴をよく理解し、適切な行動をとることを目指した、心理社会的治療が考えられます。
例えば、

携帯電話のアラーム機能を活用し、時間管理を行う

荷物の置き場所を事前に決め、忘れ物やなくし物を防ぐ

不用意な発言をする可能性があることを事前に伝える

指示されたことや、約束は文書化して後で確認できるようにする

好きな音楽、リラックスできる場所を見つけ心を鎮める方法を知る

また、ソーシャルスキルトレーニングや認知行動療法の様な心理療法も考えられます。
当院では、認知行動療法も施す場合があります。

薬物療法

また、AD/HDの症状を抑えるための治療薬も処方されています。
代表的な薬は

メチルフェニデート塩酸塩(コンサータ)

アトモキセチン塩酸塩(ストラテラ)

グアンファシン塩酸塩(インチュニブ)

があります。

メチルフェニデート塩酸塩(コンサータ)は、脳内のドパミン、ノルアドレナリンの働きを活性化させることで、AD/HDの諸症状を改善すると考えられています。
一日一回朝に服用することで、日中12時間程度効果が継続します。
主な副作用としては、食欲の低下、動悸、体重の減少、頻脈、寝付きが悪くなる、めまい、夜中に目が覚める、口渇、頭痛、うつ、腹痛、いらいら感、悪心、目の調節障害、幻覚、躁状態などが挙げられます。
また、甲状腺機能亢進、緑内障、不整頻脈、狭心症、運動シエチック、トゥレット症候群、重度のうつ病、褐色細胞腫と診断されいている方、
セレギリンを服用している方はコンサータを服用できません。
このように、留意すべき点が非常に多い薬ですが、心理社会的治療と薬物療法をコントロールすることで、
少しずつ困り事を修正していき、新たにできることを増やしていく訓練を行います。

さいごに

AD/HDは、急速にその知名度を上げ、認知された患者数も増加する一方、知識の不足・偏重から誤解を受けてしまうことがあります。
そのため、「怠惰」、「協調性のなさ」、「努力不足」と指摘され、罹患者の自己肯定感を低くすることも少なくありません。
AD/HDの罹患者は自分の特性を把握し、必要に応じて周囲のサポートを受けることや、ストレスをうまく解消していくことが大切です。
また、周囲の家族、同僚、友人も、お互いの気持ちを理解するために一歩踏み出すことで、罹患者の治療効果を高めるばかりか、罹患者との円滑なコミュニケーションにつながることでしょう。